2016年7月26日、知的障害のある人らが暮らす相模原市の津久井やまゆり園で、19人が刺殺された。当時26歳の、この施設の元職員が犯行に及んだ。
それから約2年半後、藤井克徳さん(74)は横浜拘置支所を訪れた。
「なぜあのような事件を起こしたのですか」。面会室で向き合った植松聖被告(現在は死刑囚)に問うと、こう答えたという。
「意思疎通のできない人は、生きていても仕方がない」
藤井さんは視覚障害があり、日本障害者協議会代表を務める。事件の実相に迫りたい思いから、19年2~4月、被告と計3回、面会を重ねた。
そこで感じたのは「凝り固まった障害者への差別意識、ほどきようのない障害者観」だった。
ただ、衝撃は、事件だけにとどまらなかった。
「障害者は不幸を作ることし…